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「次、吉田、解いてみて。」 「げっ…!志歩、ノート貸して。」 数学の授業中、佐伯先生に突然当てられた結衣が、後ろの席の私を振り返り、手を合わせた。 「こら、松谷を頼るな。」 「だって先生、わからないんだもん。」 まったく反省していない様子で結衣が佐伯先生にそう言うと、前の席の方からクスクスと笑い声が聞こえてくる。 「わからないんだもん、じゃないだろ…。 ほら、教えてやるから、前に来い。」 呆れた声で言う先生に、結衣は渋々掴んでいた私のノートから手を離して、前に移動した。
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