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結衣に説明したように、佐伯先生はもう一度みんなに説明をしながら、こちらに向かって歩いてきた。 私と目が合うと先生は悪戯を思い付いた子供みたいな顔をして、口元に人差し指を立てて、シーッというポーズをするから、口を開けずにいる。 結衣は相変わらず身体を横にして、壁に寄りかかりながら私の方を見ていて、必死で目で合図を送っているのにまったく気付かない…。 「テスト前だし、そろそろノート貸し…きゃっ!」 佐伯先生は結衣の頭をガシッと片手で掴まえて前を向かせた。 「吉田…また前に出たいみたいだな?」 「…佐伯先生…あはっ…そんなことはありません。」
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