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でも…。
結衣をチラリと見ると、怖い顔で私を見ている…。
ごめん、結衣…心の中で謝って、
「…はい…。」
小さな声で返事をした。
「ちょっと、志歩!裏切るの?」
そんな大袈裟な話だろうか…。
「お、教えるからっ。」
お願いだから落ち着いてと、結衣の肩口に手を当てまあまあと苦笑いした。
「ちなみに吉田…。」
「はい?」
ブスくれて返事をする結衣に構うことなく、
「俺、松谷とお前の字、判別できるから。」
極上のうっとりするような笑顔で、結衣に止めを刺した。
「…あのドS先生の、どこが良いわけ?」
「えっ…?」
教室に戻る途中、結衣が疲れ切ったような眼差しで私に、それも真剣に問い掛けてきた。
「全部。」
そう答えると、彼女は大きな溜め息を吐いた。
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