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佐伯先生の嘘がバレないように、言われた台詞も覚えている限り正確に伝えると、先生はただ黙って聞いてくれた。
真剣に聞くその双眸には、何とも言えない複雑な色を浮かべている。
「…なるほど。」
説明が終わるまで思案するように黙っていた先生が大きな溜め息をついた。
「たぶん今日の昼休み、お前らを見たせいだけじゃないな、それ。」
「…え…?」
「岸田がお前を好きだとか、告白したとか、…噂になってるんだろ。」
噂…?
確かにあのとき岸田先輩の周りには、他の先輩たちがいて冷やかしてたし、昼休みが始まったばかりで購買に向かう生徒もたくさんいた。
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