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恥ずかしくて後ろに下がると、佐伯先生もなぜかついてきた。
というか、詰め寄って来た…。
こんな至近距離で鬼ごっこですか、先生…。
ジリジリと後退し続けるうちに、背中が用具室の壁にぶつかって逃げ場を失った。
そして私を挟み込むように、先生は私の両側の壁に手をついて、
「岸田のこと、本当に好きじゃないの?」
と尋ねてきた。
何の話をしているの、先生。
「…好きじゃない、です。」
「デートの約束までしたのに?」
デート?
そんな風には思っていなかったけど、世間では二人で遊園地に行くっていうことは、そういう解釈をされるんだ…。
「そこまで意識してなかったって顔してる。」
佐伯先生の吐息が私の前髪に吹きかかり、微かに揺れた。
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