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この距離で、見透かすようなことを言わないでほしい…。
「男と二人で遊園地って、それは完璧デートだよな。
……デートってことは、さ。
こうやって迫られることも当然あるって、わかってんのか?」
「そ、そうなんですか?」
上擦る声に、それでも先生は退けようとしなかった。
「そうだよ。それに相手は性について興味が有り余る10代の男。まして運動部で日々鍛えまくってる男にお前は力で勝てるわけ?」
それは、…自信ない。
先生、何か怒ってない?
「もちろんそんなことする方が悪いけど、ついて行ったお前にも問題がある。そういうことちゃんと理解した上で、岸田の誘いを受けたのか?」
「…いいえ。」
「断りきれなかったじゃ、済まないんだぞ。松谷の優しさは悪いことじゃないけど、お前はもっと自分にも優しくするべきなんじゃないの?」
気が付いたら涙が零れ出していた。
それは先生に叱られたからじゃなくて、自分の愚かさに、情けなくなって…。
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