少女

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ある屋敷の閉ざされた部屋の中に、可憐な少女が静かに佇んでいた。 彼女の白い指が、赤い薔薇に手をかける。 その妖艶さを目にした者は、一瞬で彼女に捕らわれてしまうだろう。 彼女は美しい。 白く絹のような肌、潤いに満ち溢れた瞳、白を際立たせる長い黒髪・・・ しかし彼女には生を感じない。 まるで美しい人形のような・・・ 彼女の瞳に映るものは、部屋いっぱいに飾られている花々だけ・・・ 彼女は外の世界を知らないのだ。 彼女の美しさは、中にいるからこそよりいっそう際立つのだ。 .
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