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俺「なっ」
自分の眼を疑った。
俺が引っ張り出したのはヒントでもなんでもない。
?「ひっぐっ」
涙目で怯えた表情を隠す事もなく俺を見詰める。女の子。答えそのものだった。
俺が柔らかいと思って掴んだのは少女の腕だった。乱暴に掴んでしまったせいで爪が少女の腕に食い込んでいる。
「ピピピピピ」
俺「っ。わ、悪いっ」
少し間を置いて機械音に気付かされる。俺は急いで女の子から手を放した。
引っ張られている力が抜けたのか。クローゼットの壁に背中を預け俺を見詰めたまま目の前にぺたりと座り込む少女。
俺「大丈夫か?」
声をかけ。しゃがんで少女に触れようとした刹那。
ある異変に気が付いた。
?「、、はぁー、、はぁー、、」口を開けて空気を必死に取り入れている。俺を見詰めていたと思われる少女の瞳孔は焦点が定まらず。何処か宙を見詰めていた。
俺「おっおいっ」
触れてもいいものか。どうしてしていいか判らず声を掛ける事しか出来ない。
「あはははっ。これだよ。これっ。面白いモノが見れたでしょ」けらけらと。今の状況でかん高い笑い声。血管が浮き出る程に虫酸が走る。
俺「この娘に何しやがった!?」
「何かしたのは君だよ」
俺の反応を予想していたと言わんばかりに冷静に返された。
一瞬で気が付いたよ。
俺「っ」
自分の手に握り締めていたスイッチを床に滑らす様に遠くに投げた。
「はは。正解だよ」
スピーカーの向こうで微笑している姿が目に浮かぶ。
「それはね。範囲内に居るターゲットに電気を流す事ができる魔法のスイッチさ。彼女達が手首に着けているリングから電気がビビビーってね」
ボタンに拘っていたのはこういう意味か。こいつは「俺」にボタンを押させる事が目的だったんだ。
「まぁ電気って言っても殺傷力が低くてね。上手くいっても気絶させるぐらいしか出来ないけど」
気絶するぐらいの痛みはあるんじゃねぇかっ。
気に入らねぇ。
「ん?どうしたんだい?」
俺「、、、心底気に入らねぇ」
「うん。そう言ってくれて感謝するよ」
その時だった。
?「や、、やあああ!?」
呼吸が戻ったのか。俺を押し退けて四つん這いになりながらも必死に逃げようと暴れ始めた。
「あはははははっ。これだよこれ!やっぱり人間はこうじゃなきゃっ」
、、、こいつ。
俺「、、、」
怒り立ち上がろうとした時。
「二人とも動くな!!」
命令が部屋に響き渡る。
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