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樹海入口…
指定された待ち合わせ場所に先に着いた俺達は車の中で、おっちぃさん達が到着するのを待っていた。
慎一
「やはり入口には厳重なバリケードが張ってあるな…」
鎮
「うう…こんな時間にこれから入らなきゃならんとは…」
雨は次第に勢いを弱め、シトシトと降り続けていた。
慎一
「雨の勢いがなくなって来たけど、こりゃあ朝まで降るな…。」
鎮
「さっさと終わらせて早く帰りたいわ!」
しばらくして一台の車が樹海入口に停車した。
鎮
「ん!?おっちぃさんら来たんかな?」
車を見てみると、おっちぃさん達ではなくて、どうも肝試しに来た男女4人であった。
慎一
「感じ的には自殺志願者ではなさそうやな。嬉しそうにハシャいでじゃれてらあ。」
鎮
「アホちゃうか!?なんでワザワザ肝試しなんかするんやろか…」
男女4人の内の男1人が俺らの車に気づき近づいて来た。
俺はウィンドウを下げた。
男
「すいませ~ん。あなた方も肝試しでこちらに来たんですか?」
慎一
「いや、俺らはこれからここでお仕事やで。」
鎮
「あんま悪ふざけで肝試ししてっと呪われるで…」
男
「いや~僕らは何度かここに来ているし、今まで何も起きてないので大丈夫ですよ。それよりもこんな場所でお仕事ってまさか…」
男は強張った表情になり後ずさった。
慎一
「そんな怯えんでも人殺して埋めに来たんとちゃうから。自殺志願者を止める為ここで見張ったり、周辺をパトロールしたりしてんのや。」
俺は怪しまれないよう咄嗟に話を作った。
男
「ああ~そうだったんですか、僕らは肝試しなんで大丈夫ですよ。」
普段なら大丈夫かも知れないが、霊は湿気を好み、ましてやこの天候とこれから俺らが入る事で樹海全体の霊気が活性化され怨霊やら悪霊やらが騒ぎ出す…。
俺は一応注意を促した。
慎一
「君ら今日は帰った方がええと思うで。樹海の様子もおかしいし…」
男
「え、あなた方は霊感があるんですか?」
鎮
「こっちの奴が少し霊感が強くてな。止めた方がええと俺も思うで。」
男
「なら逆に持ってこいですよ。心霊体験出来るなんてそうそうないし、その話したら皆盛り上がりますからね。」
忠告がどうも逆効果だったらしい。
男
「いや~ありがとうございます。」
慎一
「ホンマに危ない思ったら引き戻さなアカンで。」
男は手を挙げて仲間の元に帰って行った。
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