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鎮
「確かここらで声が聞こえて来たはずなんやけど…」
鎮は辺りの茂みを見渡してが人の気配はなく…
鎮
「おっかしいな~…」
鎮の背後から足音が近づく…
鎮
「おっちぃさんやっと来たかい。声が聞こえたんやけど誰もおらんかったんや…」
おっちぃ?
「………」
鎮
「おっちぃさんどないしたんや?下なんかうつむいて、なんかあるんか?」
鎮が下を見ると地面が血溜まりになっており、その血はおっちぃさんから流れていた。
鎮
「うわああああ、おっちぃさん、血、血が…」
おっちぃ?
「ぐ…ぐぎぎ…」
鎮
「おっちぃさん?」
鎮がおっちぃの肩を掴んだ時、後方からおっちぃが現れ鎮に
おっちぃ
「マモルさん!!誰と話てるんですか!!とにかくその得体の知れない者から離れて下さい!!」
鎮
「へ?後ろにおっちぃさん?んじゃあ今目の前にいるのは…」
おっちぃ?
「うがあああああ!!」
鎮が肩を掴んでいたおっちぃは見る間に黒くなりユラユラと揺れ出した。
『おーい、おーい』
鎮
「うわああああ、ヤバいヤバいヤバい、おっちぃさんまた呼ぶ声が聞こえ出したし、この黒い影は何なんや!?」
『おーい、おーい』
おっちぃ
「マモルさん、し、下!!」
鎮が下を向いた。
すると血溜まりの中から無数の苦痛に歪んだ顔が浮かび上がって声を発していたのである。
鎮はすぐさまに、おっちぃの元に逃げ寄り
鎮
「おっちぃさんヤバい!!逃げよう!!」
しかし、逃げ寄った先のおっちぃも様子がおかしい…
鎮
「おっちぃさん何してんねん!!早よ逃げな!!おっちぃさん?」
おっちぃ?
「逃げる?どこに?……逃げるなああああああああああ!!」
鎮
「うぎゃああああああ!!」
なんと、後から来たおっちぃも黒い影に変わりユラユラと揺れ出した。
たまらず鎮は走り出して逃げる。
鎮
「なななな何なんや!!おっちぃさんが影で後から来たおっちぃさんもまた影で…」
鎮は体力の続く限り走り続けた。
『おーい、おーい』
鎮
「もう、もう騙されへん…騙されへんで…」
『おーい、おーい』
鎮を追いかけるように声が背後から近づいてくる。
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