正義が悪に堕ちる時

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「私は私を理解している。君も知っているだろ?」 「何を?」 「奥底では理解している」 彼が言い切った言葉に、嫌な予感が頭を横切る。ただその話に答えは無い。 「正義の味方が行使する“正義”は、暴力だ」 やっぱり。 理解と正論の狭間から出る歪み。それは歴代の正義の味方が覚えてきた、葛藤だ。 「正義はいつも勝つ!ならば絶対的強さは正義か? 正義の味方が居る限り、悪は絶対に栄えない!だがその正義は武力による圧制と抑圧だ。 秘密結社というならば、この一般企業に扮する我々は秘密結社ではないのか? たった5人の会社で、本気を出せば国だって滅ぼせるこのどこが一般企業だ? ……理解に苦しむよ」 「落ち着いて雄馬」 熱くも冷静なリーダーたる雄馬が、突然こんなことを話し始めた事に多少は驚きつつも、雪奈は彼を静かに宥めた。 ただし、雄馬はため息と共に自嘲も吐き出した。 「その名前も今や朧気だ。どんな人間が雄馬という人間か、誰も分かりはしない。リーダーか?レッドか?超空戦隊総司令か?それとも課長か?はっ!」
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