正義が悪に堕ちる時

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「僕はブルーを気絶させてピンクを奪って、そのまま遁走して後でピンクだけ返す気だったのに。割って入るから致命傷じゃないか」 「……ぜっ、はー……。ブルーを…殺………くせに……」 言葉を吐くのも辛そうに、レッドは遂に片膝をついた。 傾いた傷口から、だくだくと血が流れ落ちる。 しかしその姿を見下ろすイエローは飄々としていた。 「まぁね」 そしてあっさりと認めた。 「正直、ブルーの使い道はもう無くなった。リーダーも知ってる通り、彼はこの5人の中でも一番弱い。ピンクにだってガチでやったら負ける程だ。悪の組織が無くなった今、彼にはもう価値は無いんだ。 そうなると、わざわざ力を調整して気絶させるより殺してしまった方が、僕らが逃げるのを邪魔しないだろ?」 「それが……せい……の、こ、言葉………ぐっ!!」 喋りながらも立ち続けようとするレッドの左肩に、イエローの踵が突き刺さった。 レッドがグリーンに打ちつけたのと同じ場所の、踵落とし。 レッドの右の頬が地面に打ちつけられ、彼は土下座するようにうずくまった。 「悪に言われる事じゃない。 ま、正直期待していなかったとは言わないけどね、リーダーが飛び込んで来る事。間に合ったのは流石としか言えないけど」 そしてイエローは子供のように笑った。無邪気に人を馬鹿にする笑いを。 「アハハハ。まぁ、上手く行けば僕はどんな方法でも構わないんだけどね。元仲間のサービスだ。後から君を追う彼女に伝言があるなら伝えるよ」 にやっ、と笑うイエローを見上げ、レッドには彼の考えている事が分かった。 これはサービスでも何でもない。 死の直前に、自分の愛する人の辞世の句を聞かされればどんな気分だろうか。 イエローは雪奈の心を弄びたいだけだ。 レッドは上半身をなんとか起こすと、血色の悪い顔で、ゆっくりと口を開いた。 「……はぁ、…じゃあ…、折角だ…から……、はぁ……。伝わる……方に……。 ………ブルー、………、はぁ…、お、 ……お前の正義は、……それか?」
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