正義が悪に堕ちる時

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バジリ、と鳴ったのはブルーが持っているスタンガンだ。 言われた瞬間に指が自然と反応した。 いや、とブルーは考え直す。反応したのは体全体だ。きっと、心の振動。 目の前で屈辱に崩れ落ちても折れない我等がリーダーの姿は、ブルーの思い描く“正義の味方”そのものだった。 悪に屈しず、死の淵に居ながらその正義は消えない。 バジリ…バジリ… 指の震えが自分の恐怖を目に映させる。 目の前で大怪我した最強のリーダーと、それを殺そうとするグリーンとイエローの姿に身体が勝手に反応する。 ひたすらブルーの頭を恐怖が走り続けていた。 怖い、怖い、怖い、怖い、怖い!! 怪我が怖い!! イエローが怖い!! グリーンが怖い!! 最強を負かした二人が怖い!! 死ぬのが怖い!! 今まで最強のチームで戦ってきたブルーには、感じた事の無い恐怖だった。 レッドが守ってくれる。 怪我したら庇ってくれる。 捕らえられても助けてくれる。 いつだって誰かが助けて、守ってくれていた。 彼は生まれて初めて、“死”を感じていた。
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