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「最後の辞世の句を無駄に使ったね。ブルーは戦えないよ。恐怖に支配されてる」
ひたすら震えながらスタンガンを鳴らすブルーを、イエローは嘲笑しながら言った。
「あんたはもう戦えないし、正義の味方の最強と最弱で仲良く逝きな。友達が居た方が楽しいだろ?」
そう言いながら、イエローは右手をレッドの頭に向けて振りかぶった。
彼の手首から先が光り、エネルギーを溜める。放電した電気が壁を灼きながら、更に光を放ち始めた。
必殺技だ。
「僕の必殺技が瞬殺系で良かったね、リーダー」
イエローは最後まで冷静な笑みを浮かべて、言った。
「雷神ingスラッシャー!!」
カッ!!
と光が一瞬で部屋中を突き抜けた。物の有無も分からなくなる。ただひたすら、激しい放電音が地鳴りのように鳴り響いていた。
そして雷鳴が消えていく中、グリーンはイエローに話し掛ける為に一歩進もうとした。
当然レッドとブルーは消し炭になっているだろう。あとはこの会社を火事にでもして行方をくらませば…という相談を考えていたのだ。
だがしかし、残念ながら彼は足を止めた。
ゆっくりと消えていくイエローの光の中で、イエローに向かい合って二つの影がそこにいた。
「…チッ、ブルー…。貴様…」
イエローの珍しく苦々しい声を聞いて、やっと何が起きているのか、グリーンにも理解が出来た。
二人の格好は確かに焦げて黒くなって居るが、その形は変わっていない。いやむしろ、レッドに至ってはその傷が埋まって、血が止まっていた。
「…どうやったんだ?」
「知るか!!」
苛立つ二人の前で、ガタガタ震えながらもブルーの右手はレッドの傷口に当てられていた。そして左手は、イエローとの間に水の膜を張り、それは壁のように部屋を分断していた。
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