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「ごっ…はっ!!」
血を吐きながら吹き飛ぶイエローの体が発火した。壁に蜘蛛の巣のようなひび割れを刻み、落下したその体はチリチリと燃え上がる。
彼が立ち上がる前に、レッドは宙を舞いその頭上に居た。
その身体から流れる炎が、翼のように広がって、イエローを包み込んだ。
「クロスファイア」
それは中の物を焼き尽くすまで消えない、炎の檻。
炎熱の業火球がイエローの姿を隠し、それを背にしてレッドは静かに着地した。
グリーンを真っ直ぐ見つめて。
「お前の言う通り、私の力は圧制で強権で暴力だ。だから私は、お前を倒したらこの力を棄てようと思っている」
「ふ、ふざけんな!!体が燃え尽きるまで焼き続ける炎なんて地獄と変わらないだろ!!そんなの受けてたまるか!!木念神!!」
ぼわっ、と音を立ててグリーンの身体を紫の靄が隠した。
それを見て、レッドの顔は悲しみに染まる。
「…グリーン、“木念神”は感覚を麻痺させる捨て身の必殺技だろ…。戦闘力は上がらない……、
……いや、よそう。…僕等は敵だな」
「そうだ、最後まで俺は“正義”を貫くからな!!正義は負けねぇ!!」
レッドは彼の攻撃に飛び込んでくるグリーンを寂し気に見つめながら、再び拳を握り締めた。
「……クロスファイア」
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