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その頬に、キスの一つでもしてやろうかと思った時に、終了した筈のオフィスに電話の音が鳴った。
ちっ、邪魔しやがって。
なんて思いながら無言でデスクに向かい、受話器を取るといきなり聞こえて来たのは銃声だった。
『も!もしもし!!』
切羽詰まった声が銃声をバックに必死の声を此方に伝えてくる。
すぐにさっきまでの空気を忘れ、一瞬で正義の味方に気持ちを戻す。明らかに出動要請の声だ。
『た、助けてくれ!!奴ら狂っている!!』
聞こえてくるのはひたすら打ち続ける銃声と、時々上がる叫び声。電話の男の声はいつ自分の命が事切れるのかとやきもきしつつも、必死に助けを求めていた。
『これはお前達の差し金では無いのだろう!??だったら後生だ。身分を忘れて助けてくれ!!』
普段なら絶対にそんな声を出さないであろう野太い声が、ひたすら威厳も忘れて叫び声を上げている。きっと立場のある男性だろうと思いながら、雪奈は冷静に聞いた。
「そこはどこで、あなたは誰ですか?」
『○○町××道路沿いの△△株式会社!!』
そして男は声を張り上げた。
『悪の組織のリーダーだ!!』
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