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夏休み気分もすっかり抜けた、9月の終わり頃。
先週まで暑さが嘘みたいに、急に涼しくなってきた。
練習中に汗をかくことも、ほとんどなくなってきている。
「あ。雨…」
「マジで? やっぱ降ってきたんだ」
悠希と並んで空を見上げる。
灰色の雲に覆われた空。
差し出した手の平に、ぽつりと雨粒が落ちた。
静かな練習場の中。すぐ隣に立つ、大好きな男の子。
会話の間に落ちる沈黙さえ心地好く感じる。
……うん。
なんか平和だな。
きっと、こういうのを幸せって言うんだね。
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