02 近づく距離

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弓道部で過ごす時間は、ゆったりと進んでいく。 少し年季が入っている練習場は、広く贅沢に造られている。 静かな空間に、時折、思い出したかのように響く鋭い音。 弓道をはじめたばかりの頃は、その音に身を竦ませていたけれど、今では慣れてしまった。 逆に、聞こえてこないと物足りないくらいだ。 部員が多かったら、こんな風にくつろげなかっただろうな。 毎日、練習場に顔を出すのは、部長と悠希とわたしだけ。 他にも何人か部員はいるはずなんだけれど、幽霊状態だ。 悠希目当ての女子の入部希望者もいたけれど、かかるお金を前に回れ右をしていった。 弓だって、袴だって、自分で用意しないといけない。 他にも必要なものは沢山あるし、高校生のお財布事情には厳しかったみたいだ。
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