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中学の時から弓道部に入っていてよかった。
そのお陰で、悠希とこんなふうに過ごせるんだから。
「おいおい雨だって? 勘弁してくれよ」
……部長がいなければ、もっとよかったのに。
当然のように割り込んできた低い声に、ガックリしてしまう。
ノロノロ振り向くと、すでに制服に着替えた部長が更衣室から出てくるところだった。
「傘なんて持ってきてねぇんだけど」
「濡れて帰ってください」
「……ん? 今、すげぇ冷たい葉月の声が聞こえたような」
「やだな部長。気のせいですよ」
恐る恐るわたしを見下ろしてくる部長に、にっこり微笑む。
すると部長は、なぜか顔を微妙に赤くしながら頭をかいた。
なんでそこで照れるんだろ。
へんなの。
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