02 近づく距離

4/18
7185人が本棚に入れています
本棚に追加
/388ページ
中学の時から弓道部に入っていてよかった。 そのお陰で、悠希とこんなふうに過ごせるんだから。 「おいおい雨だって? 勘弁してくれよ」 ……部長がいなければ、もっとよかったのに。 当然のように割り込んできた低い声に、ガックリしてしまう。 ノロノロ振り向くと、すでに制服に着替えた部長が更衣室から出てくるところだった。 「傘なんて持ってきてねぇんだけど」 「濡れて帰ってください」 「……ん? 今、すげぇ冷たい葉月の声が聞こえたような」 「やだな部長。気のせいですよ」 恐る恐るわたしを見下ろしてくる部長に、にっこり微笑む。 すると部長は、なぜか顔を微妙に赤くしながら頭をかいた。 なんでそこで照れるんだろ。 へんなの。
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!