02 近づく距離

14/18
前へ
/388ページ
次へ
シュシュに指をかけて、高い位置で結っていた髪をほどく。 蛇口を捻って、まだ温度の上がりきっていないシャワーを頭からかぶった。 「冷た…」 のぼせていた頭と顔が、一気に冷えていく。 湯気に包まれていく狭いシャワー室の中で、お湯が入らないように固く目を閉じた。 わたしが悠希を好きだって自覚したのは、入学式からたった半月くらいのこと。 悠希に彼女がいるって知った時だった。 中学の同級生らしいから、どんな子なのかは知らないけれど。ものすごくショックで、自分の気持ちに気づいたんだ。
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7185人が本棚に入れています
本棚に追加