02 近づく距離

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着替えて更衣室から出ると、制服姿の悠希がぽつんと練習場の床に座っていた。 「あれ、部長は?」 「めんどくせーから、傘貸して先に帰した」 めんどくさいって…。 何があったんだろ。 やたら疲れた顔の悠希。 気になるけれど、ちょっぴり聞きづらい雰囲気だ。 「悠希は傘どうするの?」 「あれがあるから大丈夫」 悠希の指は、真っ直ぐ練習場の入口を指している。 あそこに立てかけてあるのは、わたしの水色の傘。 ま、まさか。
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