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「大佐・・・まさかとは思いますが、危険宙域を・・・?」
ベッカーが恐る恐る訊くが、ウィルは微笑を浮かべたまま右手を上げて制する。
「無謀です!あそこは濃密な岩礁と光をも通さない暗黒ガス、ブラックホールが複雑に存在し、艦船の航行は不可能です!!」
「うむ。ウィルよ、ベッカーの言う通りじゃ。いくら最新鋭艦とは言え、さすがに無謀じゃろう」
「・・・同感だ」
三人が口を揃えて反対するが、ウィルは微笑したままグラスに手を伸ばした。
「・・・だから、まだ言えないのです。しかし、必ず道はある。荊の道だろうが、獣道だろうが、我々は道を切り開いてでも行かねばならない」
話を止め、三人を見渡すウィルの眼光に彼らは息を呑む。今までに見た事の無い鋭さがそこにあったからだ。
「まぁ・・・越境せずとも殿下をお救い出来れば、この件は杞憂に終わりますけどね」
ウィルは表情を和らげ、グラス口に運ぶ。
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