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「一体、どうしたんだ?」
「・・・さぁ?」
戦艦レンジャーの貴賓室に残ったベッカーとルイスは顔を見合わせて首を捻る。ウィルは独りになりたいと隣室に姿を消し、ラインツは睡魔に抗し切れずに自室へ戻っていた。
「あのような鋭く冷たい眼光は、副官として今まで見た事が無い」
ベッカーは率直な感想を洩らす。階級は下だがパイロット時代のよしみで口の訊き方は対等だ。
「まぁ、本人曰く迷いが吹っ切れたとの事だが、それにしてもギャップが激しいよな」
「ウィル大佐は元々、誰よりも部下の犠牲を嫌がる方だ。にも関わらずあのような犠牲をいとわない物言いをするとは・・・殿下の件があるとは言え、意外だ」
「しかも、苛立ちや焦燥感は一切感じられない。ありゃあ、本気だぞ。望んでいた事とは言え、難儀な事になりそうだ」
二人は顔を見合わせてこれから始まるであろう激しい激闘を想像せずにはいられず、思わずため息を吐くのだった。
「「・・・はぁ」」
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