苦悩と決断の先に

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「総員に告ぐ。ここまで本当にご苦労だった。本艦は3日の休息の後にタリア星系への途に就く予定だ。わずかな期間ではあるが、一部のセクションを除いて完全オフとする。節度を保ちつつも十分に鋭気を養ってくれ。以上だ」 レナードの声がスピーカー越しに艦内へ響くと、兵士達の歓声が至るところから聴こえる。ここまでの強行軍は選りすぐりの屈強な兵士と言えども十分堪えていたからだ。 「さて、我々も休もうか。副長、周辺の索敵は?」 「はっ、無人偵察衛星を3基、岩礁帯外周に配備しております」 「そうか。通信チームは最少人数で運用しろ。傍受に専念させ、出来るだけ休息の時間を長く取れるようにな。機関部も同様に点検が終わり次第、最少人数の当直で対応させろ」 「はっ、わかりました」 「それから、民間船の乗客は格納庫限定で、艦内へ出る事を許可。シャワー室は1日1回、3時間を目処に使用させてやれ」 レナードは矢継ぎ早指示を出す。 「そう言えば、乗客についての最終的な軍医の見立ては?」
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