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「副長、何だ?何か言いたい事でもあるのか?」
「いいえ。何もございませんが」
レナードは苛立ちを込めた口調で副官を問い詰めるが、彼は相変わらず無表情で否定の言葉を述べた。
「チッ・・・まぁ、良い。誰が何と言おうと、人質は我々の安全が確保出来るまでは連れていく。これは艦長たる俺の判断だ。それじゃあ、後は頼んだぞ」
「・・・了解しました」
艦長席を蹴るように立ち上がったレナードは副官以下、士官、下士官達の敬礼を受けつつ、ブリッジを退出して行った。主のいないブリッジには微妙な空気が流れ、彼らは思わず顔を見合わせる。
「・・・副長、艦長は一体どうしたのですか?急に様子が可笑しくなったようですが・・・?」
機関長のジェニーがどうしたと言わんばかりに副官へ詰め寄った。
「ん?あぁ・・・恐らく、過去のトラウマと今回の件がダブってしまったのだろう」
副官は苦笑しながらジェニーに説明すると彼女は首を捻るばかりだった。
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