静かな怒り

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「・・・と、話は長くなったが、艦長は捕らえた生徒さん達と妹さんがダブって見えてるのさ」 ゲイボルグのサロン。副官は話し終えるとグラスを口に運んだ。話しながら自然とその回数も増え、彼の顔は紅く変色していた。 「そうだったのですね・・・」 しみじみと答えるジェニーの顔もほんのりと桜色に染まっている。 「本艦の防御力には絶対の自信を持っている。従って人質など取る必要は本来無いのだ」 「では、どうして・・・」 ジェニーの疑問は尤もだ。いらぬ攻撃を受けない為の人質ではあるが、攻撃を受けても平気なら、そのようなものは邪魔者以外の何者でも無い。 「・・・これは俺の予想だが、艦長は彼女逹を安全な所にまで連れていこうと考えているのかも知れないな」 副官の言葉にジェニーは考える。帝国領内では執拗な追撃を受けている状態では解放など到底出来ない。それを振り切った、現在地・・・辺境奥深い宙域で解放しても、無事に救助される保証は無い。 「つまり、彼女逹を確実に引き渡せるよう、最前線まで連れて行くということですか?」 ジェニーの問いに副官は無言で頷く。
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