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「繰り返すが、あくまでも俺の想像だ。もしかしたら的外れな想像かも知れんがね」
「そうですね・・・ですが、副長の想像が当たっていれば、良いですね。私達にこんな事を言う資格はありませんが、そうじゃなければ、ここまで連れて来たあの子達が余りにも可哀想ですわ」
「ああ、同感だ。さて、酒も程々にしてそろそろ休もうか。酒代は俺にツケておいてくれ。それと機関長、今の話だが・・・」
「・・・ええ、誰にも言いませんわ。いえ、言えませんと言った方が良いかもしれませんね」
「そういう事だ。頼んだぞ」
副官は苦笑しながら立ち上がり、いたずらっぽく笑うジェニーの肩をポンポンと叩いてからサロンを出ていった。
「さて、私も休もうかしら」
副官を見送ったジェニーは給仕の兵士に会計を指示してサロンを後にした。自室への道すがら、
『艦長、貴方の真意はどちらなのでしょう?・・・副長のおっしゃる通りなら尊敬に値しますけど、ただの保身なら・・・』
すれ違う兵士達が敬礼する。答礼を返す彼女がそんな事を考えながら歩いているとは、知る余地もなかったのだった。
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