静かな怒り

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・ ・ ・ 「ラインツ閣下、ジェライド閣下以下の主力部隊はタリア星系外周に布陣を完了し、閣下のご命令を待っております」 帝国軍は連邦軍を遂に彼らの辺境宙域への玄関口であるタリア星系への押し込みに成功していた。 「うむ。後は奴らを連邦領に追い返せば作戦完了じゃな。・・・ジェライド逹には彼らのタイミングで攻撃を開始するよう伝えてくれ。それと、第38宇宙艦隊以外の遊撃艦隊もタリア星系に送り、支援にあたらせるのじゃ」 「はっ、了解しました。主力艦隊と遊撃艦隊に下命せよ」 「はっ」 副官はただちにラインツの命令を伝えるようオペレータに指示をすると、 「閣下、タリア星系はやはり力攻め・・・でしょうか?」 いささか難しい顔でラインツに問いかける。 「うむ・・・彼らには『例の件』を説明したからのう。ゲイボルグとやらがここに来るまでに勝負を付けなければならん事は承知しとる筈じゃ」 「犠牲が多くなりますね」 「本当はマンダリン星系で完全にカタを付けたかったのじゃが・・・ここまでもつれては仕方あるまいな」 ラインツはスクリーンを見ながら腕を組むのだった。
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