静かな怒り

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時を同じくして、第7機動部隊でも補給作業が行われていた。 「ルイス大佐、ウィル大佐の方は清水タンク1本から水を抜いて、航空燃料タンクとして使うようです」 「ほぅ・・・それは随分と思い切ったな」 副官、キース中佐の報告に、司令官であるルイス大佐は感嘆の声をあげる。 清水タンクと航空燃料タンクはバイパス管で繋がっており、燃料タンクに被弾したり、亀裂が入る等のトラブルがあった際は航空燃料をそちらへ移送する事が出来るのだ。 しかし、再び清水タンクに戻す際は徹底的な洗浄が必要であり、緊急時以外は余り用いられる手法では無い。 「ルイス大佐、我々はどうしますか?我が艦隊に配属されたバイパーは実戦配備間もなく、機体不足から搭載定数を満たしておりませんので、そこまでは・・・」 「バーカ。燃料は多いに越した事は無いだれう?それに、これは精神的効果を狙っての事だろうしな。当然、ウィルに倣うぞ」 「精神的効果?」 「そうだ。清水タンク1本に入る燃料の量などたかが知れている。あえて補給を徹底する事でウィルの覚悟を将兵に知らしめようとしているのさ」
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