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未だ続く昼休み、そしてクラスメイト達の騒ぎ声。祐樹は教室に戻ってきていた。自分の席に着席し、腕に顔を埋めた体制でクラスメイト達を眺めている。
中学3年なだけあってみんな見た目は大人びているが、内面はまだまだ子供。騒ぎだせば止まらない。そんなクラスメイト達に対して祐樹はイラついていた。
(…………うるせ)
誰かまともな、普通にしている人を見ていたいと思い、自分の意思でこの場にいるというのにイライラは募っていくばかり。
気を紛らわせようと腕の中に顔を隠し、自分の世界に入っていけば先ほどの危険な感じのする音を思い出す。
恐怖を感じるよりかはイライラに耐えてジッとしているほうがまだ楽だった。
そんな不機嫌そうな祐樹を視界に捉え、とことことその背後から近いてくる一人のクラスメイトに祐樹は気付いていない。
「何やってんの?」
急に向けられてきた自分宛の声に祐樹は小さく肩を上げて驚いた。
祐樹が振り返ると、そこには一人の女子が自分に向かって首を傾げたまま顔を覗き込ませてきている姿が写っていた。
祐樹に話かけてきた女子、彼女は小林 菜々(こばやし なな)。祐樹とは幼稚園からの付き合い、つまり幼なじみという関係にある。かなり病弱で学校を休む事が他人よりも多い為、小さな頃から健康で元気な祐樹を羨ましがっている子だった。
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