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場所は通学路
周りの人から見れば将徳に引っ張られながら歩いている様にしか見えない、もう全てにおいてダラダラ状態の祐樹は将徳の話に適当に相槌を打つので精一杯だった。
将徳の話はほとんど頭に入ってこない。
学校を出てからもずっとこの調子の祐樹を全く気にしていない将徳は、構わず祐樹を引きずって行く。
「……んで、損したなーって」
「へー……」
「でさー」
「へー……」
「……お前は自他共に認めるバカですか?」
「へー……」
「いい加減目ぇ覚まさんかい!」
将徳の一声に祐樹はビクリと反応する。そして数秒だけ将徳を軽く睨み、思うように動いてくれない体を気合いで持ち上げて自分の力で歩き始めた。
空腹過ぎて頭がほとんど働かない。悩みの種が大き過ぎて解決へなど導けない。
祐樹は異常なまでに混乱している頭を右手で支えながら歩いた。
(うぅ……いかん、頭がイカれるぅ……とにかくさっさと帰ってメシを……)
「ヴぉッ!」
「はいっ、若者はキビキビ歩けー、コノヤロー!」
将徳に背中を押され(叩かれ)ながら、先ほどよりも少しきつく将徳を睨んで祐樹はダラダラと歩き続けた。
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