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(うぅ……死ぬて………)
ダラダラと歩く祐樹は点滅する信号など気にも止めていない。自分のペースで息を整えながら確実に将徳の元へと歩み寄る。
祐樹は曲がってくるトラックになど全く気づいていない。
(……あー、疲れ……
「っておい!!危ねー!!」
祐樹の思考が将徳の大きな声によって遮られた。
同時に気付く。
自分に接近しているトラックの存在に。だが祐樹にはただ曲がってくる様にしか見えていない。
(……危ねぇってなにが……ってちょ!)
将徳が本当に伝えたかった事に祐樹が気付いた時にはもう手遅れだった。
運転手の意識はない。居眠り運転だ。ハンドルに乗せられた頭が片側に寄り、カーブするようにタイヤが動き、ちょうど交差点を曲がって来ていたのだ。
まだ接触はしていない。だが、もう避ける事は出来ないだろう。祐樹の体力的にも、今いる位置的にも。
「っ!……祐樹ー!!」
次に将徳の声が発せられたのは、ひかれた衝撃により祐樹が倒れた後だった。
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