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何処にでも居そうなごく普通な中学生、瀬田 祐樹(せた ゆうき)
彼がこの物語の主人公である
ある日の朝、そして場所は東京のとある静かな町。そんな何ら変わりない日常を満喫中の祐樹は現在、自宅のベッドの中にいた。
今日は平日。つまり学校がある訳だが、朝に弱い祐樹は遅刻ギリギリの時間に家を出る毎日だ。その為登校はいつもマラソンであった。
下の階。祐樹の姉を見送り、一段落ついた母は未だ顔を見せない息子を起こす事なく、それどころか全く気にも止めていない余裕の表情で自分の朝ご飯を食べていた。親なだけあって祐樹がギリギリにしか起きて来ない事は百も承知なのだった。
数分後。
「………」
いつも祐樹が飛び起きてくる時間は既に過ぎていた。だがリビングからはテレビから聞こえてくるニュースリポーターの声のみが聞こえてくる、焦りなど一切ない静かな空気が流れていた。
祐樹がまだリビングに降りてきていない。どうやらまだ自分部屋の中、いや、布団の中のようだ。
母がコーヒーをすすりながらチラッと時計に目をやる。
「何やってんだか……」
そして一言つぶやき、母がやっと祐樹を起こしに動いた。階段を上がっていく足音から、しょうがなく、という感じがよく伝わってくる。
そして母は一つの小部屋、祐樹の部屋に繋がる扉の前に立った。
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