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時間は流れ、現在4時間目の終わり掛け。
祐樹の頭は朝の授業から全く働いていなかった。久びさの遅刻がなかなかショックだったからだ。
(なんで起きなかったんだよぉー、朝の俺ぇ……あと、あと数分でいいから早く起きてくれてればぁー……!)
祐樹の頭の中には遅刻してしまったショックで後悔の事しかなかった。
「おーい、瀬田ぁー。聞いとるかぁー?」
祐樹のクラスの英語の授業を担当する先生でもあり、担任でもある水嶋(みずしま)先生の声が祐樹を現実に引き戻した。
眼鏡が合う、客観的な考えをお持ちの生徒から話しかけられやすい先生だ。
彼女は板書する手を止め、後ろの方の席でぐったりとしている祐樹に呼びかける。
「今年は受験なんだぞー。授業は集中して聞いとかないと後から痛い目みるよぉ―」
先生のせっかくの助言に対しても祐樹の反応は薄い。軽く受け流すように手をぶらぶらーっとさせて「理解した」との、内心では全く思ってもいないことを意識表示。
(だからって集中出来るかっ………)
祐樹は再び机にへなへなともたれ掛った。
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