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鳥達のさえずり、教室からの騒ぎ声、廊下を走る足音。人気のない静かなこの空間では様々な音が遠くから小さく聞こえてくる。
その場所、体育館と校舎を結ぶ渡り廊下に祐樹はいた。
「……はぁー……腹減った……」
静かなだけに小さなため息も大きく聞こえてしまう。
ここの場所は去年作られたばかりでまだかなり新しい。にも関わらずほとんど利用されないでいる場所であった。作られてまだあまり時が経っていないにも関わらず、変な噂がいくつか流れている為か全くと言っていい程人が通らない。
非科学的な事に興味はあるクセに、全く信じていない祐樹は「所詮は噂だ」と割り切っている為、一人でぼーっとしたい時などにこの場所に足を運んでいる。
朝、昼と二食抜いている祐樹はもう気力がない。力なくその場に座り込んでいた。
「……午後の授業、死ぬだろーなぁ……空腹で」
腹を鳴らしながらつぶやく祐樹。今までにも何度か弁当を忘れた事はあったが、弁当を忘れなおかつ朝食まで抜き、という事は一度もなかった。その為、今日の祐樹は今までにないほどぐったりしている。
母は性格上、わざわざ弁当を届けたりはしてくれない事を祐樹は知っていたので何の期待のしようもないのだ。
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