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祐樹は空へと視線を移した。雲一つない快晴。天気予報ではこの天気が一週間は続くと言っていた。
だがそんな快い空を見上げる祐樹の心の中はまるで逆、かなり曇っていた。
運命とは残酷なものだと聞くが、それは正にこの事なのだろうか。
運命の歯車はここから、この時から狂いだしたのだろうか。
『ガァアン!』
唐突に響き渡るのは、普通の人間が生きていく内では聞く事がないであろう音。
時代劇によくある刀と刀との戦闘シーンなどに似合いそうな、金属と金属がぶつかり合う音だった。
「……なっ、何!?」
テレビので使われている効果音とは比べものにならないぐらいリアルで危険な感じのする音に祐樹は肩をビクりと震わせた。
音はそこまででかくはない。おそらく窓すら越えていかないだろう。つまり教室の中にいる生徒達には一切この音は届いていないはずだ。
だが祐樹のいる場所は屋外。嫌というほど透き通った音が聞こえてきてしまう。
祐樹の体はいつの間にか小さく震えていた。
『ガァアン』
『ガァアン』
『ギィユゥゥゥ』
普段は聞くことのないような様々な音が耳に届いてしまう。祐樹は恐怖によりその場から一歩も動く事ができなかった。
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