【記憶のカケラ】

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4月24日――・・・ 私のお兄ちゃんは'そこ'にいた。 まだ綺麗な石 敷き詰められた小石。 そして供えられた―― ――花。 そう。 私のお兄ちゃんはもうこの世にはいない。 「お兄ちゃん・・・。私ね、高校生になったの」 とりあえず恒例の現状報告。 「それからね、星哉くんにも会えた。懐かしいでしょ?あとは―・・・みずきっていう新しい友達もできたよ。」 ――ぽつん。 一粒の雫が腕にあたった。 「・・・雨?」 見上げた空は重いグレー。 そういえば今日は雨が降るって言ってたっけ・・・ 「私、傘持ってないからもう帰るね」 急いで線香や蝋燭をかばんに入れて階段を駆けおりた。
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