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万谷さんは泣きじゃくった。
恥も外聞も無いとはこの事だろう。
なにしろ、ここは自らの通う高校の教室のど真ん中なのだ。
校内放送は中休みのチャイムを鳴らし終え、生徒らはその残響の余韻を味わう事もなく、友人を誘い、またはひっそりと孤独に浸れる場所を求めさまよい出した頃だった。
私からはやや離れた席にいた彼女は、集約された室内全ての視線を引き連れてやって来る。
ズンズンと真っ直ぐに私の元へ。
途中ある机などは蹴倒しつつ進むその姿は、怨敵を葬らんと肉迫する鬼武者さながらだと、密かに思ったほどの迫力に満ち満ちていた。
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