始まりの日

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「佐原ぁ~!まだ飲むぅぅう!」 「ダメですって。飲み過ぎです!」 「佐原のケチぃ!」 「何とでも」 フラフラする私を気遣って腰を支えてくれる佐原。 さすが佐原。慣れてるなぁ。 「佐原ソイツ頼めっか?」 「え?」 「俺この女送ってくからよ」 「大丈夫です」 「サンキュ」 圭の背中には酔いつぶれた佐原の連れの子。 なんて言うか、律儀だよね。圭って。 「さあ行きますよ、先輩」 「んー。酒ぇ」 「オジサンみたいっスね」 「うるひゃい!」 「はいはい」 いつも酔った私を介抱するのは佐原。 だから私の扱いもお手の物。 「帰りましょう、先輩」 「ん」 優しく言葉を掛ける佐原の声を最後に、意識をゆっくり手放した。 .
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