アニキの夏

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帰宅したおやじに アニキは やけどの跡を見せている。 「今度は 裸エプロンするって言ったら やるのは勝手だが俺は見ん!だってさ。ひでぇよな。」 いやいや アニキ おいらも見たくないかも。 おやじは アニキにおかまいなしで ギターを弾き始める。おいらもギターに合わせて、一生懸命歌うんだ。 「あ~もう!うるさい!こら おまえも 一緒んなって 騒ぐんじゃねぇよ。」 アニキには このすばらしい音色が わからんのかねぇ~。 「わかるもんか。うるさいだけだわい。」 アニキは さっさと隣の部屋へ逃げて行く。 エアコンが効いていない、暑い部屋で汗だくになりながら、おいらとおやじの【愛の合奏】が終わるのを アニキはひたすら待っている。 「この跡ってさ ハートだよな。」 ギターの音がしなくなった部屋に戻ってきた アニキ。おなかの やけどの跡が、ぼんやり ハートの形になっている。 おいらの愛の歌が 形になったんだ!おいらとおやじの愛が! おやじ 愛してるぜ! 何、げんなりしてんだよ。 あっ 心配すんな。アニキの事も ちゃあんと 愛してるからな。ちっとばかし 愛の形は違うけどさ。愛してるぜ!アニキ。
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