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そんな少女の洞察力と発言に楽しそうに表情を歪めたムジカは、嘲笑混じりの笑い声を溢す。
「――――…ふ、はは。」
その途端、ムジカは少女の肩を潰すつもりか、前のめりに体勢を変えて力を入れた。
「…ぃ゛、あァ゛ッ……!!」
激痛から逃れるように暴れる少女の力は余りにも非力で、体力を根こそぎ奪われた今では到底這いずり出る事は不可能だった。
喉を仰け反らせて悲鳴を上げ、みしみしと骨が軋む音を聞かされ続ける事に、生理的に浮かんだ涙が零れ落ちていく。
「どうやら私は、君を侮っていたようだ。
苦痛に喘ぐ今なら簡単に流されると思ったんだが―――……。
君の洞察力と意志の強さは、褒め称えてあげなければね。」
「……馬鹿に、す、るな…ッ…!」
「けれどそんな風に拒まれ続けると、どうしても君が欲しくなってしまうじゃないか。」
ムジカの言葉に少女は瞳を見開き、理解し難い内容に動きが止まってしまった。
そんな少女の様子にムジカは高笑いし、差し出していた片手を天に突き上げる。
途端、その掌には何か黒いモヤのようなモノが集まりだした。
蠢くモヤはあっという間に色濃くなりはじめ、今では闇のようにどす黒く変色してしまっている。
まるで生き物みたいに右腕に絡んでいる様子は、蛇を彷彿とさせるものだった。
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