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そして今、極上の微笑みを浮かべて少女の前で待ち構えているのだ。
少女が自らの誘いに堕ちて来るのを、確信していたのかも知れない。
「……わた、し…が。」
苦しげな吐息の下、少女はムジカを見上げて話し出した。
「貴女の、…ッ、手を取ったなら……私のねが、ぃが叶う、と?
…ふ…、そん、な……都合良く、貴女はきっと叶えて、は下さらない。」
ぴくりとムジカの指先が反応し、少女を見下ろす瞳が僅かに細められた。
「きっと、私、が……貴女を倒す、事は、永劫叶わぬもの……に…なるので、しょう?
…貴女の、……ゥ…ッ、…僕(しもべ)と成り下がるの、でしょうね。
力を、手にいれる…代償とし、て…。」
「どうしてそう想う。」
「…魔物を滅ぼせる、と…貴女は、……言った。
私を、では無く。
つまりそ、れは、…甚大な力を…手に入れ、られても、…ッ゛、…貴女いが、ぃの魔物しか倒せない、と……言う意味なの…でしょう?
そ、して…貴女は、……私を、欲しいと言ったからで…す。
飼い慣らす、代わりに…力を与えて……やる、そんな…ところで、しょう。」
ムジカの手を取ったなら、言葉通りに身に余るほどの力は確かに得るのかも知れない。
けれど、それと引き換えに大事なモノを差し出さなければならなくなるのだろう。
それは直感。
否、絵物語に出てくる悪魔とはそういったものだ。
目の前に餌をちらつかせて、取引相手の何かを奪い去る。
きっと、ムジカも同じだろうと思ったのは彼女の今までの発言を聞いていたからこそ。
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