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夕暮れ
海之はまだ墓にいた
夜には土方たちが来る
急な話だ。
とため息をつきつつ立ち上がると後ろに人の気配がした
すらり。と刀を抜き茂みにむけた
「誰だ」
低い声でそう言うと
千代が申しわけなさそうに出てきた
「ごめんなさい…
でもここのお墓に花を添えたくて…」
「誰の墓だか知ってるか…?」
首を横にふる千代を見て海之は墓から目をはなさず口を開いた
「俺と…夫婦になろうと約束した女の墓だ」
「夫婦に…」
「江戸の武家の娘だった
ただ本当の娘じゃねぇ
引き取られたんだ…」
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