二、二人の千代

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海之は話し続ける 「俺は十の頃…刀一本で生きてきた父親と共に脱藩した 強くなりたいって思いもあったが違う世界を見たかったのかもしれねぇ 外の国には袴とは違う服装や髪や目… まぁ外の国には行けなかったが俺たちは江戸に行った 父親は父親で…若いやつだったから吉原通いして俺は俺で働いた 昼になって仕事が終わった俺は神社で涼んでた そこに千代が来た 病弱だった千代は毎日通ってた」 海之は膝の上で拳をつくり握りしめていた 「それから俺は千代と毎日会ってた でも千代は武家の娘 親が決めた男と夫婦になるんだと俺に泣いて言ってきた」
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