最初のお話「お母さん」

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誰も乗っていなかったのにっ 今確かに声が…っ 「…ねぇ、屋上に行ってもきっと良いことないから…ここで降りようよ。」 恐怖に震え動けないでいる真悠子の横に、細い腕が伸びる。 その手はピッと屋上より一つ下の階のボタンを押した。 「ぁ…あなたは誰なの?いつ乗ってきたのよ!?」 相変わらず恐怖で動かない体を抱き締めながら、真悠子は何とか声を絞り出す。 振り向くことは出来なかった。 すると、ちんっとエレベーターが屋上の一つ下の階で止まった。 静かに扉が開いていく。 開いた扉の前には誰もいないマンションの廊下が広がっている。 響くのは恐怖で荒くなった真悠子の息づかいだけ。 後ろにいるであろう人物はここで降りた方がいいと言った。 だが… .
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