我がまま娘

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たこ焼き専用鉄板の向こうで 椅子に座り 何か悪い顔して 腕を組むオッちゃん 何か考えながら俯いている 悪い顔で うむ、嫌な予感する そして、顔を上げると やはり悪い顔で口を開く オッちゃん「で、本命はどっち?」 何を言い出すこのオヤジ! 本命? つまりアレか? えーっと…… バレンタインチョコとかの 義理とか本命とかの…… その本命だよなぁ…… 俺の本命は…………って!? 秋「そういう感情は……」 オッちゃん「若いねぇ」 ニヤニヤと悪い顔を 屋台から覗かせている 居心地悪くなり 残ったたこ焼きを阿希に押し付けて デパートの店内へと 逃げ込む 深夜と阿希は 押し付けられたたこ焼きを 食べてから 俺のあとを追いかけてきた 自動ドアの内側で待って 二人と合流すると そのまま、二つ目の自動ドアを潜り ホームセンターコーナーに入った コーナーとはちょっと違うか 一階全体がホームセンターで 家具や木材、工具、植物などの ごく普通のホームセンターで 二階はスーパーや本屋、薬局… フードコートがごちゃ混ぜになっている 洋服類もあるが その店はモールほど豊かな品揃えではないため 殆ど客入りは良くない このデパートが出来てから数年経ったが 当時からあるその洋服店は潰れないで残り続けている ホントに大丈夫だろうか? そう思うなら買ってやれよ、 とか 思わないでほしい たぶん 俺があの店に貢献してる 唯一の人間だからな 唯一とは言いきれないけど 一番は俺だと思われる 俺が洋服を買うときは その店だからだ 別に客入りが少ない店だから 可哀想がって利用してる訳でもなく 純粋に その店に置いてある服が 好みに合うからだ そんな、見下すような人間ではない
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