我がまま娘

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ほんの少し力のこもった阿希の表情が 緩んだ 秋「となると、まず俺の部屋の物を全部移動させるか。それで作業してくれ」 組員四人「ウッス!」 トラックから降ろそうとした組み立て式の茶色段ボールに入ったままの家具類を戻し、家の中へ入って行った 阿希「あ、後、ベッドもちょうだい?マットだけ代えれば構わないから」 だから、買ったベッドだけ地味な色してたのか? ってことは、買ったのは俺の分な訳ね? 一応、俺の事も考えてるんだな ……いや、あまり褒められるものではないな 無茶を言う代償位の 心遣いだと受け取る それから、5時間後 夕飯を済ませ、ベッド以外の家具移動を終えて 家具を組み立て阿希の指示道理に 配置した 全て終えると時計の針は 短針長針ともに真上を向く 数分前だった 疲れた、正直疲れた 途中途中で春の妨害行為に屈せず 深夜の差し入れの(我が家の冷蔵庫から出た)シュークリームや 紅茶を啜りながら一息いれたり 結構賑やかで 地味に体力を削っていった 今の俺は春も部屋で寝て、 組員も皆帰った後の リビングのL字ソファでぐったりと 横になっている 同時に俺の肩に頭を乗せ 小さな寝息を立てる深夜のお陰で、 身動きが出来ない 疲れたんだろう…… 唯でさえ、あまり体力のない体で 今日1日、テンション高く過ごしてたんだ…… 無理もない 因みに、 阿希は自分の新しい部屋で ちょっとした喜びに浸っている 秋「…………………」 駄目だ、眠い でも寝たらマズイ…… せめて深夜を家に送らないと…… ああ、駄目だ……もう……無理…… 視界が狭まり、薄れていく 体から力が抜けていき 無意識の内に そのまま眠気に身を委ねていった
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