決意表明

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阿希「でも、イジメられてたって言っても、当の本人が全然気にしてなかったの……居場所がないのは正直辛かったわね」 秋「居心地悪いみたいな、か?」 コックリ頷く 阿希「イジメより辛い事を体験してると、そういう事を気にしてる暇ないの」 ほんの少し、声が震えてる テーブルの上に添えている手が 恐らく無意識だろう…… 力が込もって拳を作っている 秋「辛い事って?……いや、言わなくても良い――」 言い切る前に制された 阿希「言う、気を使わないで……アンタのそういう所が嫌い」 思わず 息まで止めてしまった 酸欠手前で息を吸い これ以上、必要最低限以外 話が終わるまで喋らないようにしよう 阿希「私さ、お父さんっ子でね……パパ、パパって甘えてたの」 「それが原因だったのかな……?」 「小学校に上がる前の頃、私が寝てる間に出ていっちゃったの、その日を境にお母さんは育児放棄状態」 育児放棄 俺の親父が過保護気味になったのは 母さんが居なくなった後だ…… タイミングもちょうど同じ頃だ 俺もお母さんっ子だったしな 鏡か…… 阿希「朝昼夜の御飯は無し」 「朝は我慢したけど、小学校の給食は幸せだったね……イジメられてなければ、尚良かった」 「夜はコンビニ食、お弁当類とかカップラーメン」 ………………… 阿希「お母さんがやってくれたことは、小学校、中学校、高校に通う為のお金を出してくれただけ」 握りこぶしが震えていた 語尾は怒りのようで悲しみの様な 感情が込もっているのを感じた 阿希「小学校の時は、まだ良かった。イジメも小学生が考える様なくだらないものばかり……」 「中学では、ほとんどのメンバーが地元の中学に入ったから、知らない顔の人間もいたけど、大抵は知ってる顔ばかり。そのままイジメも引き継がれた」 「でも、中学生になって勉強のレベルが上がり学力を上昇させていって、イジメも頭使ったような手の込んだものになってた」 「馬鹿だよ、無駄な事に頭使って……」 ホントに馬鹿だな ふざけた奴ばかりだ
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