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阿希「それでね、これ以上お母さんに変な目で見られるの…嫌だから……旅に出る準備をしたの、ただの家出って言えるんだけどね」
どこか遠い目をしている
阿希「中学の時から内緒で歳偽ってまでバイトして貯めた200万を旅費にね、準備進めてた」
200ッ!?
阿希「只でさえこの成りで、バイトは大変だった。まず雇ってくれる所を探すのが大変だった……」
無い胸を触ったり
頭のてっぺんをポンポン叩きながら
自分の体の幼さを表す
まだ中学の1年生にしか見えないしな
大変だったろうな
阿希「それでも、必死にお母さんに今までの恩を返す為に頑張って来た……でも、旅立ち……家出を決めた時には何の為に頑張ってたのか分からなくなってた……」
恩なんか感じられる様な事を
してもらってない相手に恩返し
結局何してるか分からなくなる……
ある意味、お前も馬鹿なんだな
「少し考えれば、すぐ答えは出たよ……自分の為だった……正直、お母さんが嫌いになってた」
「だからかなぁ?すぐに家出の発想に至ってた」
旅立ち……家出……
阿希「準備を終えて、居間でテレビを見てるお母さんに、"おやすみ"って言ってさ、早めに寝て、お母さんが起きて来るより早く起きようとしたの……そしたら、これよ」
これよって?
阿希は俺を見ている
あぁ、なるほど
家出の準備をしたのは昨日なんだ
阿希「起きてみれば、鏡の向こう側、つまりこの世界に迷い込んでた」
起きてみれば、何故こっちの世界にいる?
寝相が悪いのか?悪すぎて鏡の向こうに来てしまったのか?
どんな寝相だよ?
確実に歩いてなきゃ、こっちに入ってこれんだろ?
阿希「たぶん、今もあっちの私の部屋には、家出の荷物と現金200万を残して、裳抜け空状態ね」
何故、現金……
阿希「………いつも給料は、現金渡しだったの、口座作るのも面倒だし」
俺の目を見てから、すぐに視線を前に戻して言った
なんか読まれた
面倒とかそういう問題か?
現金で200万は危ねぇよ
阿希「でも、もうどうでも良い、200万なんていらない」
さすがに聞いてみたくなった
秋「なんで?一生懸命貯めた金だろ?」
阿希「必要無いからよ」
必要無いって……
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