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―翌日― 花子へのイジメは続く あの時の女子達は 静かにそれぞれ自分の席に着いているだけ 昼休みにクマの人形は返した 縫い物なんて全然出来なかったあの頃だ 出来は酷かった…… それでも花子は喜んでくれた それから 夏休みを迎えて 休みあけに 担任から打ち明けられた 衝撃の知らせ 花子は転校する事になった イジメが原因ではなく 親の転勤が理由だった 少し安心した… 休み明けから一週間 ついに花子と お別れをする日が来た その日、また後悔した 一週間も時間があったんだ 何か良い思い出を作ってやれた なのに 入学式から転校まで アイツは良い思い出と言えるものがなかった 最後の最後で 最低最悪な思い出を残す事にもなった あの日は たまたま花子と鉢合わせになり 学校まで一緒に登校した ランドセルには 恥ずかしい縫い目の入ったクマの人形がぶら下がっていた 校門を通り、昇降口に入る 花子の下駄箱には 色々な手紙が入っていた 内容は酷いものばかり でも、その中に一枚だけ 謝罪の言葉が書かれたものがあった
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